NISAと確定拠出年金/落とし穴、問題点、デメリット
確定拠出年金に関してこちらの新記事も御覧ください。
■記事更新・2016年9月確定拠出年金.個人型と企業型.マッチング,ポータビリティ
■記事更新・2016年7月確定拠出年金とNISAを比較。どっちがお得?
■記事更新・2016年7月確定拠出年金(DC)落とし穴/ メリットとデメリット
(2013年11月3日・記)
確定拠出年金[ defined-contribution pension scheme ](日本版401K)
の限度額が引き上げられるという報道がありました。
NISAの話題が表立っています昨今(当サイトもしかり(´ε`;))
確定拠出年金については兎角に忘れがちです。
今一度考えてみるのもよいきっかけかもしれません。
確定拠出年金の限度額引き上げは
2014年度税制改正に盛り込む予定で、
全体としては2〜3割の引き上げ案となっています。
施行は2014年の秋を目指すとしています。
確定拠出年金が導入されたのは2001年でした。
今回は3度目です。(2004年10月、2010年1月に続いて)
現在の利用者は約450万人以上(採用企業:約1万7千社)
毎月の掛け金には税がかからず、
またその額を加入者自身が判断して、株式や債券を運用できるというものです。
掛け金の限度額=非課税枠です。
■企業型の限度額は
1)他の企業年金がない場合は:5万1000円
2)他の企業年金と組み合わせる場合は:2万5500円
■個人型の限度額は
3)会社員向けで:2万3000円
4)自営業者向け:6万8000円(国民年金基金と合算)
上に掲げましたのが現在の限度額です。
今回の引き上げ案↓では
1)他の企業年金がない場合(企業型):5万1000円⇒ 約6万円
3)会社員向け(個人型):2万3000円⇒ 約3万円
以上が今回の「確定拠出年金の限度額引き上げ」報道の概略です。
いまさらながらの感はありますがここで
確定拠出年金のおさらいをしておきましょうか。
と申しますのはNISAをきっかけに「投資」や「運用」を始めようという方が
少なくはないのです。
ならば、この際もう一度 確定拠出年金をも振り返り、
資産運用を考えてみるのもいい機会ではありませんか。
このサイトでもくどくどしく申していますが
NISAの制度はわかりにくく、欠陥もあるように思えます。
現在NISAは時限措置ですが、
恒久化の制度になることを望んでいますし、なるだろうと期待もしています。
NISAの話題になると熱が入り
横道にそれてしまいました。 確定拠出年金に戻りましょう。
確定拠出年金の落とし穴、問題点、デメリット
本サイトらしく(?)まずは
確定拠出年金の落とし穴、問題点、デメリット、盲点を。
■60歳までは受給できません。
一定の条件を満たさないと(残高が50万円以下など)、
60歳になるまでは積み立ててきたお金も引き出せません。
今すぐ欲しいお金であっても、
退職であっても、60歳前は使うことができません。
途中で取り崩さずに老後資金づくりに活用しましょう。
■運用が難しい。
さまざまな金融商品を選べるようになっていますが、
自由に選べるゆえに困惑しますね。このあたりNISA同様。
■運用にはリスクが伴います。
あまりにも当たり前のことですね。
(企業は年金リスクを取らずに、従業員に運用リスクを取らせるのか、というご意見も。)
■企業側が何もしてくれない?
投資セミナーを開くなど、運用の教育を徹底している会社もあるそうです。
一方、確定拠出年金の導入後は社員の自主に任せるとばかり、
教育らしいことは何もないという企業もあるようです。
実は、教育は一所懸命にやろうとしているのに、
社員の関心が薄い、意識が低い、参加が少ない等という、
多くの現状があるらしいのです。
NISAにはあれほど関心があるのに・・と嘆いている企業側のご意見もありますよ。
■確定拠出年金の利点を活かしきれない。
離職、退職、転職の際には、
いままでの年金資産を企業型・個人型とも、
持運びして移せるのは、確定拠出年金のよいところです。
この利点が活かされていないようです。
掛け金を追加拠出できなくなったり、いままで積み立ててきたお金が
何年も引き出せなくなった加入者の例が結構あるといいます。
少しそのあたりをお話ししておきましょう。
・たとえば、会社勤めをやめ、
独立して自営業となった場合には、
個人型(加入資格は自営業者ら)への加入手続きをすればいいのです。
掛け金を追加拠出しながら運用を続けられます
・別の例として、公務員になって個人型に移った場合はどうでしょうか。
この場合は掛け金を追加できません。
いままで積み立てた年金資産の運用をするだけです。
専業主婦になった場合も同様です。
・もうひとつの例。
転職先の会社には確定給付型の企業年金があって、
確定拠出年金がない場合。
こちらも上の例・専業主婦や公務員と同様掛け金を追加できません。
・退職後6カ月以内に個人型などへの加入手続きをしなかった場合は
追加拠出も、運用指示もできなくなります。
これまでの年金資産は現金化されて国民年金基金連合会に移されます。
移管時に3150円と、その後の手数料毎月50円は払わねばなりません。
ポータビリティーについて
先ほども少し触れましたが
ポータビリティーについてお話ししておきましょう。
離転職の際には、確定拠出年金の企業型・個人型どちらも、
離転職先に持運びできます。
これをポータビリティー【portability】と呼んでいます。
別にカタカナ語ではなくてもいいのでしょうが、
日本語では「可搬性」「移植性」とでもなりますか。
”移動のしやすさ”ということです。
確定拠出年金以前の年金制度では年金資産を転職先へ持っていくことは困難でしたが、
確定拠出年金制度では持ち運びができ、つまりポータビリティーが確保されています。
脱サラで自営業者になった場合でも、
個人型への加入手続きをすれば、掛け金を追加拠出しながら運用を続けられます。
しかし持ち運びには条件が伴います。
このあたりがややこしいのですね。
〓〓 確定拠出年金 から⇒ 確定拠出年金へ ポータビリティー 〓〓
●企業型年金加入者だった人 ⇒ 転職 ⇒ 企業型年金加入者加入者となった場合は
●企業型年金加入者だった人 ⇒ 転職 ⇒ 国民年金の第1号被保険者となった場合は
●企業型年金加入者だった人 ⇒ 転職 ⇒ 企業型年金がない企業の場合は
●企業型年金加入者だった人 ⇒ 転職 ⇒ 確定給付型年金制度の加入者となった場合は、
●企業型年金加入者だった人 ⇒ 転職 ⇒ 国民年金・第3号被保険者や公務員になった場合は、
個人年金運用指図者は、掛金を拠出せず、運用の指図のみを行います。
注.確定拠出年金制度に加入できない人で、資産額が50万円以下、または掛金の通産拠出期間が3年以下である場合や
資産額が1.5万円以下であることなどに該当する場合は、
脱退一時金となることに注意。
〓〓 確定給付型・年金制度から⇒ 確定拠出年金へ ポータビリティ 〓〓
●厚生年金基金、または確定給付企業年金の資格喪失後1年以内
かつ確定拠出年金の加入者の資格取得後3カ月以内
↓
脱退一時金相当額を移換する旨の申出
↓
確定拠出年金に脱退一時金相当額を移換できる。
●確定拠出年金の加入者の資格取得後3カ月以内
↓
企業年金連合会から年金積立金を移換する旨の申出
↓
確定拠出年金に積立金を移換できる。
●平成17年(2005年10月)より⇒厚生年金基金、確定給付企業年金の脱退一時金相当額、
または企業年金連合会の積立金が確定拠出年金に移換できるようになりました。
以上、確定拠出年金限度額引き上げに絡めて
少しお話しをしました。
折角ですから確定拠出年金について
もう少し続けようと思います。
次回は「NISAと確定拠出年金」その2 をお届けします。
税の面では
NISAより「確定拠出年金」の方が有利なのではないかという考察です。
つづく
(2013年11月3日・記)
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