2014年に始まったNISA(ニーサ/少額投資非課税制度)については、当サイトでは当初よりいろいろな角度からお伝えしてきました。今やNISA利用者数は約1,500万口座となりました。2024年からは「新・NISA」が始まります。
また、2001年に始まった確定拠出年金は2017年にiDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)という愛称がつけられ、いま185万人強の加入者数です。改めてこれらの制度の使い方ついて考えてみましょう
NISA制度変遷
- 2001年。「確定拠出年金」制度開始
- 2014年。「NISA」制度開始。
- 2016年。「ジュニアNISA」導入。
- 2017年。「iDeCo」始まる
- 2018年。「つみたてNISA」導入。
- 2024年。「新・NISA」へ移行
NISA利用者数 内訳(2020年9月末時点)
- (一般)NISA:1,209 万 5,813 口座
- つみたてNISA: 274 万 5,490 口座
- ジュニアNISA: 42 万 1,349 口座
(出典;金融庁「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20201225/01.pdf)
iDeCoとNISAを わかりやすく
iDeCoとNISAは制度としてその仕組みに違いがあります。iDeCoは自分で毎月掛金を払いつづけて、将来の年金を作る制度です。NISAは投資の運用益や配当金などに対しての税が非課税になる制度です。それぞれの違いや制度を比較する前に、iDeCoとNISAについておさらいしておきましょう
iDeCo とは
iDeCo(イデコ)はすでに申しましたように、将来に向けてご自身で年金を作るための制度です。ご自分が掛け金を拠出して積み立てて、金融商品を選んで運用していきます。「年金」ということで、60歳までは途中で引き出すことは原則できませんが、税制上の優遇措置があります。(2022年5月以降、65歳まで)
iDeCo は長期運用が肝
iDeCoの概要
概要対象となる年齢 | 20歳以上、60歳未満 |
---|---|
非課税対象商品 | 元本確保商品(定期預貯金、保険など)、投資信託など |
運用方法 | 積み立てに限定 |
口座数 |
1個 |
非課税投資枠 |
年14.4万円〜年81.6万円 |
非課税期間 | 給付受給開始まで |
加入可能年齢 |
60歳まで* |
税金優遇措置 |
掛け金は全額控除 |
2022年5月以降は65歳まで加入できます
*現状、iDeCoに加入できる人は20歳以上60歳未満です。2022年5月以降は上限年齢が5年延び、65歳未満の方まで加入できるようになります。
- 65歳まで加入できるのは、国民年金の被保険者(加入者)。
- 会社員で60歳の定年後も、厚生年金に加入して働く方は、国民年金の被保険者になって65歳まで加入できます。
- 定年退職後に働いていない元会社員の方は国民年金の「任意加入制度」を利用すれば60歳以降も加入できます。
- 自営業、フリーランス、専業主婦(主夫)の方などは、国民年金の「任意加入制度」を利用すれば60歳以降も加入できます。
iDeCo 3つの税制メリット
iDeCo には3つの税制上優遇措置があります。
- 掛け金は全額控除
積立金は全額控除となります。所得税、住民税が安くなり、拠出の期間が長いほど節税効果があります。 - 運用益は全額非課税
NISAと同じく、運用益には税金がかかりません。通常約2割程度の税額がかかるところ、それが0円となります。運用益を効率よく利用して資産形成に役立ちます。 - 受け取るときには大きな控除
退職時に、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金で受け取るなら「退職所得控除」の対象となり、税負担が軽くすみます。
iDeCo の掛金 投資限度額
iDeCoに加入できるのは20歳以上60歳未満のほぼ全ての人と申しましたが、掛金の拠出限度額は職業や加入している年金の制度によって、次の表のように分けられています。掛金額は、拠出限度額の範囲内で月額5,000円以上、1,000円単位で決めることができます。
被保険者 種別 | 職業など・属性 | 掛金の拠出額上限 |
---|---|---|
第1号被保険者 | フリーランス・自営業者 | 月額6.8万円 (年81.6万円) |
第2号被保険者 | 企業型*DCのない企業の会社員 | 月額2.3万円 (年27.6万円) |
企業型*DCに加入している会社員 | 月額2.0万円 (年24万円) | |
**DB加入者、公務員 | 月額1.2万円 (年14.4万円) | |
第3号被保険者 | 専業主婦・主夫など | 月額2.3万円 (年27.6万円) |
*DC:確定拠出年金 **DB:確定給付年金
iDeCoの開設から運用まで 【手続き 手順】
iDeCoを始める手続きとしては、証券会社などの金融機関を決めるところから始まります。特別な思い入れがなければ、商品が豊富で運用コストが抑えられるネット証券が妥当でしょう。以下がiDeCo開設から運用までの手順の概略です。
1. どの金融機関で開設するか
金融機関により、取扱運用商品の種類、そして加入時や毎月の口座管理等にかかる手数料なども異なります。口座管理手数料は無料から月500円程度まで金融機関によって開きがあります。
自ら投資する銘柄を選んで、ベンチマークを上回る利益を目指して運用することは投資初心者にはリスクが大きすぎます。また、自身で金融商品を組み立て、効率的なポートフォリオを作ることも容易にできるものではありません。
初めての投資では、1つの投資信託で分散された投資を行うことができるインデックスファンド投資を選ぶのも一法でしょう。 資産運用は長く続けることが肝要ですから、原則60歳(65歳)まで解約ができないiDeCoはインデックス投資に適した制度といえます。
2. 専用口座の開設準備
次に専用口座の開設準備のための資料請求をします。ネット証券はインターネットで完結できるところが多くなってきました。
またNISAとは異なり、iDeCoは総合口座の開設は必要ありません。
口座開設は銀行、郵便局、証券会社など多くの金融機関で扱っていますが、1.でも触れましたように、ノーロード(購入時手数料が無料)で、信託報酬(運用管理費用)が低いインデックスファンドを多く扱っているネット証券を推奨します。(SBI証券、楽天証券)
準備しておくこと。
- 基礎年金番号を確認(年金手帳、年金定期便などで。会社員は勤務先でも教えてくれます)
- 掛金額を決める(掛金額は年に一度変更できる)
- 掛金引落口座の準備(個人払込の場合)
- 身元確認書類(運転免許証や保険証など)
- マイナンバーの提出が必須
3. 申込書類を送る
申込書類が郵送の場合は、必要事項を記入し必要書類を同封して返送します。ネット証券のSBI証券や楽天証券などでは、iDeCoの加入申し込みや移換の手続きなどもWebで完結できます。
4. 申し込みが済んだら
申し込みの日付によって異なりますが、翌月か翌々月にIDとパスワードが送られてきます。引き続き国民年金基金連合会の審査が行われ、各種通知書が送られてきます。書類によって送付元や到着日は異なります。
企業型確定拠出年金から移換する方の場合は、申し込みから国民年金基金連合会の審査が通過して移換手続きが完了するまで1ヶ月半から3ヶ月程度かかります。
5. 運用を始める
利用者サイトなどで運用商品の設定を行い開始となります。指定しておいた内容で引き落とし、あるいは給与からの天引きで口座に入金されます。その月の申し込み締切日が過ぎての申込みは翌月に2回分(加入月+翌月分)の引き落としとなることがあります。
6. 年末調整と確定申告
会社員なら年末調整、自営業などの場合は確定申告で、iDeCoで積み立てた額は控除となります。確定申告などの際には忘れることなく申請してください。
※以上、一般的な手続きの流れです。金融機関によって変わる場合があります。詳しくは、申込をする金融機関でご確認ください。
少額で始める投資 【NISAの使い分け】
NISA・つみたてNISA・ジュニアNISA
NISA口座には「NISA」、「つみたてNISA」のほかに「ジュニアNISA」があります。「NISA」は2024年から「新・NISA」へ移行し、ジュニアNISAは2023年で終了します。
まずは2023年までの現行の「NISA」について整理しておきましょう。新制度については後述します。
ここからはNISA口座の二つをはっきり区別するために、
「NISA」を ⇒「一般NISA」と記述します。
「つみたてNISA」はそのまま ⇒「つみたてNISA」とします。
「NISA」、「つみたてNISA」の違い
一般NISA と つみたてNISA の併用はできません
- 「一般NISA」と「つみたてNISA」は、口座内の投資で得た運用益にかかる税金(約2割)が非課税となります。
- NISA口座内で、「一般NISA」か「つみたてNISA」のどちらか一方を選択する必要があります。両方を同時に持つことはできません。
- 「iDeCo」と「NISA口座」は同時開設ができます。
- 年単位で「一般NISA」と「つみたてNISA」を変更することはできます。 ⇒原則として、変更しようとする年の前年の10月から12月の間に、変更の手続きを行う必要があります。
- 金融機関の変更もできます。 ⇒変更しようとする年の9月末までに、金融機関で変更の手続きを完了する必要があります。(変更前の金融機関のNISA口座では、追加の金融商品の購入ができない。その年に既にNISA口座内で金融商品の購入をしていた場合には、変更できるのは翌年の投資分から。)
- 「一般NISA」の非課税期間は5年間ですが、「つみたてNISA」の非課税期間は20年間です。現在、新規に投資できる期間は2037年までですが、改正により、2042年まで5年延長されます。
表 「一般NISA」、「つみたてNISA」の違い
「一般NISA」、「つみたてNISA」の内容比較を次の表でご確認ください
(「ジュニアNISA」については後述)
一般 NISA |
つみたて NISA |
|
---|---|---|
年間投資上限額 | 120万円 | 40万円 |
非課税投資できる |
最大金額600万円 (5年間分) |
最大金額は800万円 (20年間分) |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 |
投資可能な期間 |
2023年開始分まで |
2037年開始分まで |
投資対象商品 | *上場株式、投資信託、ETF、REITなど |
**金融庁が定めた基準を満たす |
2024年からの |
2階建ての『新・NISA』 |
内容変わらず2042年まで延長 |
つみたてNISAの非課税期間である20年間が終了したときには、別の課税口座(一般口座や特定口座)へ払い出されます。
つみたてNISAは、翌年の非課税投資枠に移すこと(*ロールオーバー)はできません。
一般NISAの非課税期間は5年間ですが、その5年間が終了しても、売却しない資産については、
6年目に新しいNISA口座へ移管できます。これを"ロールオーバー"と言います。
ロールオーバーすることによりさらに5年間非課税期間が延長されることになります。
つみたてNISA」にはロールオーバーの制度はありません。
現状の、つみたてNISAは2037年までの制度です。投資信託などの購入ができるのは2037年までです。2037年中に購入した投資信託についても、20年間(2056年まで)は非課税で保有できます。
一般NISA、つみたてNISAで取引できる金融商品
上の表中の「投資対象商品」について以下に掲げておきます。一般NISA と つみたてNISAでの投資対象商品は金融庁で決められております。
*一般NISAの具体的な金融商品は金融機関によって異なりますから、口座開設する金融機関で確認する必要があります。
**つみたてNISAで取り扱われる投資信託対象商品は、193本となっています。(2021年4月当記事執筆現在)
参考:つみたてNISA対象商品届出一覧 (金融庁 2020年12月23日)
*一般NISAで対象となる金融商品
- 株式投資信託
- 上場株式(国内株)
- 上場株式(外国株)
- 国内ETF
- 海外ETF
- 上場投資証券(ETN)
- 国内REIT(J-REAT)
- 海外REIT
- 上場新株予約権付社債(ワラント債)
など
*一般NISAで対象とならない金融商品
- 非上場株式
- 預貯金
- 債券
- 公社債投資信託
- MMF、MRF
- eワラント
- 上場株価指数先物
- 外国為替証拠金取引(FX)
- 仮想通貨
など
ジュニアNISA
ジュニアNISA口座で購入した上場株式や投信等の配当金、分配金、譲渡益が5年間非課税となります
「ジュニアNISA」は2023年で終了となります。
「ジュニアNISA」の制度は2016年に始まりましたが、加入者はあまり伸びませんでした。利用者数は42万口座程度(2020年9月)です。
他のNISAと異なり、ジュニアNISAは途中解約できません。子どもが18歳になるまで解約はできませんが、その間は非課税で運用できる制度です。2023年までに口座開設すれば適用されます。
2024年以降は運用中の資金でも、子供が18歳になるのを待たずとも引出せることになりました。今から始めても2024年以降は引出せますから、かえって自由度が増して、子供のいる家庭では使い方があるかもしれません。
ジュニアNISA制度の概要 表
対象者 | 0歳〜19歳の方(口座を開設する年の1月1日現在) |
---|---|
非課税対象 | 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益 |
口座開設数 | 1人1口座 |
非課税投資枠 |
毎年80万円が上限(最大400万円/5年) |
非課税期間 | 最長5年間 期間終了後、新たな非課税投資枠への移管(ロールオーバー)による継続保有が可能 |
運用管理者 |
口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族(両親・祖父母等) |
払出し | 18歳までは払出し制限あり (3月31日時点で18歳である年の前年12月31日までの間) |
投資可能期間 | 2016年〜2023年 |
2023年でジュニアNISAは制度終了となりますが、その時点で20歳になっていない方は、新たな非課税投資枠への移管(ロールオーバー)することによって、20歳*になるまで<非課税で継続保有できます。(*1月1日時点で20歳である年の、前年12月31日まで))
またジュニアNISAは20歳以降は一般NISAへ自動的に移行できることになります。一般NISAではなくつみたてNISAを利用したい場合は、つみたてNISA口座への変更手続を行う必要があります。20歳に達した後は、親権者等ではなく、原則として口座開設者本人が運用を行うこととなります。(注:ここで20歳と記載部分は2023年以降は18歳となります。)
2024年から「新・NISA」がスタート
2024年よりNISAの制度が変わります。2019年12月閣議決定された「令和2年度税制改正大綱」にその内容が盛り込まれています。
新しく始まるNISAの制度変更については、
どのような名称となるかまだわかりません。ここでは便宜上「新・NISA」と記述します。
くり返しになりますが、現行の「(一般)NISA」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」のうち「ジュニアNISA」は終了ということになります。
2024年から始まる「新・NISA」は
- 非課税の期間は現状と同じく5年間です。
- 売却損が生じても*損益通算ができないのは現状と同じです。
- 1階部分と2階部分で投資できる商品がすこし異なります。
1階部分の対象商品は現「つみたてNISA」の対象商品と同じです。
2階部分では現「(一般)NISA」の対象と同じく上場株式や投資信託に投資ができます。
(ただし長期投資に向いていない高レバレッジ投資信託などは除外されるようです)
「新・NISA」の大きな特徴は下の図のごとく「2階建」になります。
つみたてNISAは5年延長
一般NISAは2024年から2階建ての新NISAに衣替え
新NISAでは1階で積み立てを行った場合は、2階の利用ができる
投資経験者は新NISA2階だけ使うこともできる
一般NISAから新NISAへのロールオーバーは少し複雑⇨新NISAのロールオーバー
ジュニアNISAは2023年で終了
NISAの種類 | 現行制度は | 変更後は |
---|---|---|
一般NISA |
新規投資は2023年まで |
5年延長で2028年まで 2023年の投資分まではロールオーバー可 |
つみたてNISA |
新規投資は2037年まで |
5年延長で2042年まで |
ジュニアNISA |
新規投資は2023年まで |
ジュニアNISAは |
表で見る 「(一般)NISA」と「新・NISA」比較
現在の「一般NISA」 | 2024年からの「新・NISA」 | |
---|---|---|
年間の投資上限額 | 120万円 | 【1階】20万円 【2階】102万円 |
非課税期間 | 5年間 | 5年間 |
口座開設 可能期間 |
2023年まで | 2024年から2028年まで |
投資 対象商品 |
上場株式、株式投資信託、ETF、REITなど | 【1階】積立・分散投資に適した公募株式投資信託 など(つみたてNISA対象商品) 【2階】上場株式、株式投資信託など (値動きの激しいレバレッジ型投資信託などは除外) |
投資できる期間 | 2023年まで (●「新・NISA」へロールオーバー) |
(●1階部分?「つみたてNISA」へロールオーバー) |
新NISAのロールオーバー
一般・NISAでは本来はロールオーバーが使えます。これは、非課税期間の5年間が終了後に、翌年の非課税枠を使って、さらに5年間非課税で運用できるというものです。しかしながら現行の一般NISAは 投資期間が2023年までとなっていたので、ロールオーバーができませんでした (2019年以降の投資分には非課税枠がありませんでした)。
それが、新NISAでは、2023年の投資分までロールオーバーができるようになります。(新たに2028年までの非課税枠ができました)。
ただし、ロールオーバーを行うと、ロールオーバーをした年のその分の非課税枠が減りますからここはご注意ください。(ロールオーバーする金額が120万円を超えれば、その年は非課税での投資枠がなくなってしまいます)
また、「新NISA」1階部分の投資信託は、「新NISA」制度の終了後は、「つみたてNISA」にロールオーバーできる予定です。となれば、「新NISA」の1階部分の投資は非課税で最長25年間できることになります。ただし、2階部分はロールオーバーできないということです。
わたしたちは寿命がのびて老後の資産形成はますます重要な課題となってきました。政府は「人生100年時代にふさわしい家計の安定的な資産形成を支援していく」としています。NISAは制度変更により、5年延長されることになりました。さらに延長という可能性もあるのではないかと思っています。
【まとめ】2024年からの新NISAはこうなる
一般・NISA 新・NISA
- 非課税投資枠の現行の年120万円(最大5年で600万円)が?2階建て制度になる
- 1階部分は毎年20万円(非課税投資枠は最大100万円)
- 2階部分は毎年102万円(非課税投資枠は最大510万円)
- 非課税期間最長5年間も?2階建て制度になる
- 1階部分は最長5年間(終了後は?「つみたてNISA」へ移行可能)
- 2階部分は最長5年間
- 口座開設可能期間・現行2023年までが?2028年まで
つみたてNISA 5年間延長へ
口座開設可能期間は現行2037年までが?2042年まで
ジュニアNISAは 2023年末で終了
- 2023年までは?18歳までの払出し制限がある。
- 2024年以降は?口座開設者本人(=子や孫)が、18歳に達していなくても源泉徴収されずに払出し可能。
iDeCoとNISAの併用と使い分け
iDeCoとNISAの併用は?
- iDeCoとつみたてNISAは併用できます。
- iDeCoと一般NISAも併用できます。
- 一般NISAとつみたてNISAは併用できません。
iDeCo+一般NISAあるいはiDeCo+つみたてNISAがOKということになります。「一般NISA」と「つみたてNISA」の違いはこちら(?〓)でご確認いただき、併用するならどちらかのNISAを選ぶということになります。
iDeCoと つみたてNISAの併用
すでにご説明しましたようにiDeCoは確定拠出年金です。つまり将来に受け取る年金のために、運用する掛金(の拠出)が確定している年金制度です。 一般NISA(少額投資非課税制度)やつみたてNISAは投資においての非課税制度ということになります。目的が違うのでその制度も異なります。年金と投資は別ものということで併用を可能としたのでしょう。
いずれにしても資産運用は目先の損益にとらわれることなく長く継続することが肝要です。iDeCoは原則60歳まで解約できないので、インデックス投資などを利用した長期的な資産形成に向いています。iDeCoに関しては、職業あるいは勤めている会社の年金制度などによって、加入の可否や投資できる金額などが異なりますから、一概に平均化して申すことはできません。例えばインデックス投資で老後に向けた長い資産運用を目論むのでしたら、第一候補としてはiDeCoということになろうかと思います。
iDeCoに比してつみたてNISAはいわば中期的な資産形成向きということになるでしょう。途中で引き出すことができますから、子供の入学金など教育資金目的で積み立てるということもあるでしょう。
つみたてNISAの対象商品は、金融庁が定める長期・分散投資に適した金融商品となっていますから、そのような目的に適したものとなっています。また非課税期間は2037年までとなっており、5年間(2023年開始分まで)の一般NISAより長い設定となっています。そのようなことで中長期の資産運用でのiDeCoとNISA制度の併用は「iDeCo+つみたてNISA」が優先順位ということになろうかと思います。
すでにご説明しましたように、2024年からの「新・NISA」では2階建となり1階部分は「つみたてNISA」に相当する内容となっています。2024年からの新・NISAについては こちらをご覧ください(⇨2024年から「新・NISA」がスタート)
「iDeCo」 「NISA」 どちらを選ぶ
iDeCoは月額5,000円程度から始められるます。「iDeCo」 か「NISA」かということになれば、老後資金をつくる目的なら優先順位の一番はiDeCoに決まりだと思います。該当する職業や勤め先の年金制度によって掛け金の上限額は異なりますが、それを超える部分はつみたてNISAでの運用を考えれば良いでしょう。あるいは、例えば子供の教育資金や住宅資金などのために、10年、20年の中期間の運用でしたら、つみたてNISAが敵っているでしょう。
一般NISAとつみたてNISAの併用はできませんが、夫婦で2通りのNISAを活用する例もあります。夫婦でそれぞれ、例えば妻は→、つみたてNISA、夫は→一般NISAなどと分けて口座を持つ方法が考えられます。この場合は、妻のつみたてNISAで年間40万円枠での中長期運用を行い、そのほかに、個別株なども対象としたい場合は、年間120万円までの枠を活用した夫の一般NISAで5年以内の運用を行うという考えかたです。
表 iDeCoと2つのNISA(つみたてNISAと一般NISA)
つみたてNISAと一般NISAの併用はできませんが、
iDeCoと一般NISA
iDeCoとつみたてNISA
は併用できます。
iDeCoと併用の場合は、つみたてNISAか一般NISAのどちらかを選ばなければなりませんが、後に切替えはできます
iDeCo | つみたてNISA | 一般NISA | |
---|---|---|---|
非課税上限金額 | 年14.4万円〜81.6万円 職業、加入している年金 の制度により異なる |
年40万円 | 年120万円 |
税制優遇期間 |
60歳まで |
20年間 | 5年間 |
運用できる商品 | 投資信託、 定期預金、保険商品 |
投資信託・ETF (金融庁が定めた 投資適格商品) |
投資信託、 国内株式、外国株式 |
非課税対象 | 運用益 掛金全額が所得控除 受取時も一定額まで非課税 |
運用益 | 運用益 |
投資商品の売却 | いつでも出来る 他の商品へ乗り換え可 |
いつでも出来る 非課税枠は使い切り |
いつでも出来る 非課税枠は使い切り |
資金の引き出し | 原則60歳まで不可 | いつでも可能 | いつでも可能 |
iDeCoとNISAの使い分けに関する セミナー 【動画】
iDeCo、一般NISA、つみたてNISAをどのように使い分けるかを解説したセミナー動画をご紹介します。楽天証券経済研究所の山崎 元氏のセミナー動画で、『iDeCo、一般NISA、つみたてNISAの使い分け』と題するものです。
氏はセミナー動画の中で、iDeCo、NISA、一般の口座をバラバラに考えるのではなく『全体を合計した状態が最適になるように考える』ということが大切だとおっしゃっています。
「iDeCo、一般NISA、つみたてNISAの使い分け」については、次のように言及されています。正確にはセミナー動画で確認してください。
- 若い人(55歳ぐらいまでは若い人)はまずiDeCoを最大限に使うとよい。
- iDeCoの制度はサラリーマンにとっては一番税制上のメリットが多い。
- iDeCoは60歳になるまで原則引き出せないという制約があるが、厳しい言い方をすれば、それが制約になるようではいけない。
- 今銀行に何百万円か預金があり、その中からリスクを取って運用してもいいと思われる場合には、一般NISAである程度の投資を始めてしまうやりかたもある。
- ある程度まとまったお金がある場合にはまず一般NISAとiDeCoとを使うといい。
- まだまとまったお金はない、投資について不慣れという場合には、つみたてNISAから始めて投資の要領がわかったらiDeCoをなるべく大きな枠で使う。
- お得感が大きいのはiDeCo、まとまったお金があれば一般NISA、投資体験的な教材としてはつみたてNISAがいい。
- 一般NISAはいろいろなものに投資できるので、商品選択を失敗したりしやすいが、つみたてNISAの場合には商品が絞りこまれているので、その投資を覚えていく上で非常にいい教材になっている。
- 広く分散投資されていて、かつその手数料が安いインデックスファンドを選ぶと良い。
- 一般NISAで運用する商品も基本的にはつみたてNISAで運用する商品と考え方は同じ。
- 長期でいいものは短期でもいいし、長期投資に向かないもののは短期投資にも向かない。
- ETFは運用管理手数料が安いので一般NISAの場合には ETFも使いやすいかもしれない。
(順不同)
詳しくは、動画でご確認ください。
- トウシル [楽天証券]
- 使い分けの三原則
- 利用のヒント
- 税優遇のある個人向けの運用制度の比較
- 楽天証券株式会社http://www.rakuten-sec.co.jp/
こんにちは楽天証券経済研究所の山崎元です
今回はiDeCo、一般NISA、つみたてNISA
こういった制度の使い分けの考え方についてお話ししたいと思います
このiDeCoというのは個人型確定拠出年金の愛称ということなんですがまぁさらにその
一般NISA
一般NISAに加えてつみたてNISA、今いろんな個人が資産形成をするための制度ができてきています
これらはどういうふうに使うといいのかそのあたりの考え方の基本を
ちょっとご説明しようかなというふうに思っています
その使い分けに当たってのが3原則ということなんですけれども
まず課税上のメリットがある制度なので
端的に言って普通に運用するよりも例えばiDeCoであるとか
NISA、つみたてNISAを使うことによって
より特に運用ができるというまあそういう税金の制度の上でのメリットがあるの
でこれを最大限に活用しましょう
なるべく大きく使う 使えるものはできるだけ大きく使った方がいい
まずはこれが基本ですから もう一つは流動性と利便性ということ
少し
制度間の差があるのでこれを少し注意しようかなということ それから
例えばiDeCoをつかい
NISAを使いさらに通常課税される
一般の口座を使うということになるわけですけれども
その時にそれぞれをバラバラに考える
のではなくて全体を合計した状態が最適になるように考えるということが大事かと思い
ます
なるべく大きく使うということについてイメージを言いますと
まあ例えば仮に月収手取りが30万円くらいの人がいると考えた時に
その人がサラリーマンで例えば厚生年金に入っているというような状態で
考えると大体必要なその貯蓄額
老後の
備えのために必要に貯蓄額というのが手取りの2割前後くらいの数字になり
ます
だいたいそれは30万の2割ということだと6万円ぐらいということになるわけ
ですけれども
例えばiDeCoで使える金額が23,000
月々23,000円でつみたてNISAで使える金額が40年間40万円を12で
割るのでキリの良い数字にならないんですけれども
まぁだいたい3万3,000ありますで23,000円と33,000円
合わせた場合に5万6,000ぐらいになるのでだいたい
つみたてNISAとiDeCoとをフルに使うとほぼその老後の貯蓄というか
備えに足りるくらいの金額になるということなので
大体において
備えなければいけない金額というのはそれなりに大きい
だからその中で
iDeCoであるとかつみたてNISAあるいはNISAをなるべく有効に大きく使ったらいいのでは
ないかということです
じゃあ通常のサラリーマンの場合何から考えたらいいのかというようなことを
まず申し上げますと課税される所得がある
若い人が
若い人という範囲がちょっと微妙ですがだいたい55ぐらいまでは若い人だと
思ってください
まずiDeCo 最大限に使う
いうことが得になるということですね
iDeCoの場合に非常に大きいのはそもそも年金制度なので
掛金その運用にまわすお金を月々支払っていくわけですけれども
これがその所得から控除されるということですねですから所得税の対象に
ならない
それから住民税の対象にならないという非常に大きなメリットがあります
そういう意味では
所得のある人はまずiDeCo使うとほぼ必ず税金で得をすることができる
ので金融商品というか制度の中では珍しいぐらいの
必ず得をするっていうようなことが言える
有利な制度です
そういう意味ではこのiDeCo 会社で確定拠出年金を
制度として持っていたりあるいはその企業年金の大きなものがあったりすると使えない
人もいるわけですけれども
使える場合にはなるべく大きく使おうということですね 厚生年金だけに
入っているまあよくあるサラリーマンのケースですと月々23,000円まで使えます
年間276,000円ということですから
276,000円分に関する所得税
それから住民税が免除されるというのは非常に大きなメリット
です もちろんその中で運用している時の運用益に対しても課税されないので
非常に大きなメリットがある制度だと
なるべく大きく使おうということを申し上げたいと思いますが
ただこれ年金の制度で有るであるために
60歳になるまで原則引き出せないという所が一つの制約になります
ちょっと厳しい言い方をするとでもそれが制約になるようではいけないんだと
もっとiDeCoにも貯金
あるいは資産運用へ持っていなければ老後の備えとしては不足なんですよというよう
なことが一般のサラリーマンには言えるん
ですけれどもまあただその若いサラリーマンなど場合に
iDeCoにお金を入れてしまうとそれは出せないのかなということが
ちょっと制約になる 気分的にも制約になることがあるのでちょっと流動性には
注意してくださいということを申し上げておきます
もう一つそのこれはまあぜひ行ったらいいんじゃないのかなというふうに思う
制度としてはつみたてNISAという制度があります
これは3つの制度の中では一番新しい制度なわけですけれども
基本的に投資の利益に対して
約20%課税されるわけですねですから
例えば投資して10万円儲かったとしても約8万円しか自分の手元には残らないという
ことなんですがその課税が免除される形で運用できる
ただその代わり毎月あるいは
定期的に積み立てるような形で運用しなさいという
そういう制度なわけですけれども投資の初心者がよくそのお金がたくさんたまらない
と投資っていうのはできないんだ
いうふうに思いがちなんですけれどもつみたてNISAはこれからお金を貯めていくこれ
資産をつくっていくという過程の中で投資をすることができる
いう制度です しかもその年間40万円までの枠があるわけですが
20年間これを非課税で運用することができるということで
ただその途中で売却してしまう
とその非課税の枠を使い切ってしまうことになってこれが復活しないんですね
ですから20年 できるだけ長く持っていたいというふうに思うような
自然にその長期投資ができる
そういう制度になっていますしもう一つはその金融庁が
かなり対象商品を絞り込んでいます
主にインデックスファンドが多いんですけれどもこういう広くへ分散投資され
ていてかつその手数料の非常に安い
商品が選ばれているのでちょっとそこ失敗しにくいという感じですね
一般のNISAだといろんな商品個別の株式も含めてあるいは投資信託もいろんなもの
に投資できるわけですけれども
いろんなものに投資できるということはそれだけちょっと商品選択を失敗
したりしやすいわけですが
つみたてNISAの場合には商品が絞りこまれて
いるというようなこともあってその投資を覚えていく上で非常にいい教材になってる
な
金融庁が作ってくれた投資教育の教材だという風に考えることができると思う
んですけれども
つみたてNISAは月々3万3,000までということであるわけですが
33,000円
までいきなりやらなくても例えば月々1万円ぐらいから始めてみて投資を
覚えるというような使い方でもいいでしょうし
とくに若いサラリーマンの方がiDeCoにお金を入れてしまうと60歳まで出せ
ないというようなことがちょっと精神的の制約になる場合にまず
そのつみたてNISAから始めるといいのではないのかな
いうふうに思いますじゃあ一般NISAはどうなんだということですが
一般NISAは年間120万円までの投資を5年間非課税で運用することができて5年
経つとまた 5年間
それを繰り越すことができるというようなそういう制度なんですけれども
一般NISAの場合には120万円というのはあの比較的大きい枠があるので
例えば今銀行に何百万円か預金がある
その中からリスクを取って運用してもいいなというふうに思われる場合にまずは
こう一般NISAである程度を
投資を始めてしまう
いうことが得になる基本的にはそんな風に考えたらいいのでは
ないかと思います
ただ ではその一般NISAで運用する商品ということも基本的にはつみたてNISAで
運用するような商品と考え方
同じです その長期でいいものは短期でもいいし
長期投資に向かないものっていうのは短期投資にも向かないと
はっきり言うとそういうことなので
そのと思いますし
あるいはETF ETFは大変
運用管理手数料が安いので一般NISAの場合には ETFが使いやすいということが
言えると思います
ETF を使おうということは銀行に一般NISA
の口座を開いてしまうとETFが利用できないので
証券会社に あの私はまあネット証券が良いと思いますけれども
証券会社に口座を開いて一般NISAを使う
ある程度そのまとまったお金がある場合にはそんな風に考えたらいいのでは
ないかそんな風に思います
まとめて言いますとiDeCoという
多分サラリーマンにとっては一番税制上のメリットが多い
制度があり ある程度まとまったお金がある場合にはまず一般NISAとiDeCoとを使う
といいでしょうし
まだまとまったお金はないんだあるいは
その投資について不慣れなんだという場合にはまずつみたてNISAから始めてみて
で投資の要領がわかったということであれば
iDeCo をなるべく大きな枠で使う
いうような考え方で使うといいのではないかな
まずお得が大きいのはiDeCo でまとまったお金があれば一般NISA 投資を
覚えたいという投資教育的な投資体験的な教材としてはつみたてNISAがいいかなと
いうふうに思います
それぞれ使った方が有利な制度なので使えるものをなるべく大きく使う
いう風に考えていただくと良いかと思います
具体的なその運用の中身の考え方その他についてはまたこの動画を通じてご説明して
いきたいと思いますので今後ともよろしく
お願いいたしますどうもありがとうございました
※YouTube文字起こしより、改行および一部整文しました。
●iDeCoでもNISAも投資を行う以上はリスクが伴います。投資信託やETFであっても、定期預金や保険などのような「元本確保型商品」ではありません。運用中に元本を下回る可能性もあります。
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【ライター:かのお ファイナンシャルプラン技能士、宅建士】
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