NISA(少額投資非課税制度)・問題点と期待と
前回は
NISAの 「デメリット」「問題点」「落とし穴」と題してお送りしました。
その続きを少し記しておきます。
今回もNISA(少額投資非課税制度)のお話に、
しばしおつきあいください。
私のところにもNISAに関してのDMやセミナーの案内などが
複数の銀行や証券会社から連日の如く送られてきています。
税務署の確認受付は2013年10月1日から※で
口座開設は2014年1月1日からですが
既に200万口座の開設予約があるそうです。
(※税務署確認は口座開設の銀行、証券会社を通じてやりますので
口座開設申込者が出向く必要はありません。)
税制優遇で運用できるものとしては2001年に導入された
確定拠出年金がありますが、伸び悩んでいるのが実情です。
確定拠出年金は日本版401kといわれて、
個人金融資産形成の一つのあり方として期待されてもいたのですが
今現在の残高は5兆円に満たない金額です。
確定拠出年金の拠出金は個人の所得から控除されることになっていますから
NISAよりも寧ろ税制上有利かとも思われます。
また確定拠出年金は商品の買い替えが出来ますので
自由度が高いといえるでしょう。
資金の引き出しについては
確定拠出年金は原則60歳までは出来ません。
NISAはいつでも出来ます。
ただし確定拠出年金の加入対象は(企業型、個人型、自営業者型をあわせても)
約6千万人程度ですが、
NISAは満20歳以上の日本人であれば、という条件だけですから
約1億人がその対象となります。
年100万円、5年間、非課税になるのは株式、投資信託などの収益です。
いわゆる「少額投資」の範疇です。
投資型商品ですから、もちろん元本が保証されてはいません。
しかも当面は10年間の時限立法です。
しかしながらNISA対象人口1億人となれば
投資家層の拡大と市場規模の拡大をももくろんだ、
「貯蓄から投資」へ向けた政策の後押しとなる規模となりえましょう。
つまりは今まで資産運用や投資をまったくやっていなかった人たちに
投資デビューしてもらうということです。
前回掲げましたNISAの問題点としては
■買い替え時の税制など制度の見直しの必要性がありはしないか
というお話をしました。つまり
■金融機関の変更が出来ない
■再投資が出来ない
■恒久的制度ではない
などがありましいた。
これらは問題点ではありますが
長期投資を促すという側面も持っています。
一般に個人投資家は短期売買になりがちなのですが
非課税枠が年100万円ていどなら、すぐにその枠は尽きてしまいます。
結局は中長期にわたっての
上昇を期待するという投資になるかと思います。
政府の試算では2020年までに
NISAの市場規模として25兆円を目指すということになっています。
冒頭に申しましたように既に200万件の予約ということですから、
この勢いでは、近い数字に達するかもしれません。
先行きの市場が好調であれば
確定拠出年金伸び悩みの轍を踏むことなく
証券投資の成長とともに
NISAの成功は期待できることになるでしょう。
結局NISAの問題点はすなわち
NISAへの期待でもあるのです。
次回は
「NISA(少額投資非課税制度)と金融機関の選び方について」
お話しする予定です。
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